イセスマは虚無アニメじゃない【考察】

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「異世界はスマートフォンとともに。」というアニメが、2017年に放送しましたよね。

当時、虚無アニメだ虚無アニメだと騒がれ、そうなんだ~と思いながらスルーしてたんですが、最近全部見たんですよ。

率直な感想を述べると、イセスマは理想のハーレムエンドで終わっており、虚無アニメと一喝してしまうのはちょっと違うんじゃないかと思いました。

「虚無」とは

まず、虚無とはなんでしょうか。

虚無……何物もなく、むなしいこと。空虚。特に、価値のある本質的なものがないこと。

イセスマは虚無アニメ=イセスマは内容がなく、むなしい、というニュアンスでしょうか。

「虚無」の辞書的意味を確認したところで、イセスマのどんなところが虚無アニメだと言われているのかを考えていきます。

イセスマのあらすじ

主人公の望月冬夜は、あるとき神様の手違いで死んでしまう。申し訳なく思った神様は、冬夜を異世界に転生させることにして、冬夜の望みを一つ聞き入れる。冬夜の望みは、自分の今まで使っていたスマートフォンを、そのまま異世界でも使いたいというものだった。

イセスマの始まりのあらすじです。

「異世界物」によくある設定で、「なろう」小説の代表的テンプレートだとされています。

私自身は普段「なろう」小説を読まないので、新鮮な気持ちで見ました。

冬夜の飛ばされる世界は魔法の使える異世界で、転生してもすぐ死んでしまっては意味がないと、神様に身体能力もすべて底上げしてもらった結果、無尽蔵の魔力量が与えられた上、全属性魔法が使用可能になるなど、チート能力の持ち主となります。

魔法の使えるその異世界では、スマートフォンなどの現代の便利機器はありません。

スマホを持っているだけでも強みなのに、身体能力もチートとなれば、異世界で生きていく冬夜のストーリーがイージーモードになるのはこの時点で予想がつきます。

そんな予想を裏切る何かがあって、ハードモードに立たされ、絶体絶命。みたいな展開があると普通思うじゃないですか。

起承転結があってこその物語ですから。

イセスマが虚無アニメと言われる理由

さて、イセスマはある意味、そんな我々の予想を見事に裏切る展開となっています。

ストーリーがサクサク進みすぎる。

まったく苦戦する場面がなかったわけではありません。少々の難敵が現れた時もありました。が、冬夜の機転と、仲間同士のチームプレーで解決します。

むしろ、物語の大半が冬夜のスマホや、知識、魔法の力によってあまりにもサクサク進んでいくので、他の登場人物がそれに感嘆する、という流れになっています。

ある意味見ていて爽快感はあります。

恋愛描写が掘り下げて描かれない。

イセスマにおける恋愛描写は、予想できるように冬夜を巡るハーレム展開です。

出てくるヒロインはみんな、冬夜の能力の高さ、そして謙虚な人柄に惹かれて恋に落ちていき、冬夜と行動を共にするようになります。

最終的に冬夜は、自分に想いを寄せる全員を婚約者とすることを決意します。

ヒロイン一人一人が冬夜のどのような所に惹かれ、どのように好きなのかが掘り下げて描かれないので、ヒロインが安易に冬夜を好きになったように見えます。恋愛的にもサクサク上手くいきすぎていると言われても無理はありません。

ハーレムアニメは、こうあるべき

私はハーレムアニメが好きです。「ラブひな」、「いちご100%」、「まもって守護月天」などの昔のハーレムものから、「俺の彼女と幼なじみが修羅場すぎる」、「彼女がフラグをおられたら」、「お兄ちゃんだけど愛さえあれば関係ないよねっ」など、最近のハーレムものも好きです。

そんな色んなハーレムアニメを見てきた者からの視点なのですが、イセスマのハーレムエンドはとても良いと思うのです。

ハーレムアニメには、

①誰か1人を選ぶ

②誰も選ばない

③全員を選ぶ

の3択があると思うのですが、イセスマは③です。

私は、ハーレムアニメは③の展開が一番好きです。だから、イセスマのハーレム展開も、楽しく見ておりました。

イセスマは、誰か1人を選ぶほどキャラクターの恋愛描写が掘り下げられている訳ではないので、①は難しいと思います。

というか、12話ではその尺もなかったと思います。

でも、別に誰か1人を選ぶために、1人1人の恋愛描写を必ず描かなくてはいけない訳ではないのです。

もっとライトな、ハーレムアニメ。

冬夜のような何でもできちゃう男性が身近に突然現れたら、好きになってしまう気持ちもわかりますし、好きになる理由なんてそれで十分だと思います。

現実世界のように、濃い恋愛描写を描いて、誰か一人を必ず決めなきゃいけないなんて決まりはありません。三次元のドラマじゃないんですから。

二次元のファンタジーですから。そのくらいの夢があっても許されるというか、その方が自然だと思います。

冬夜を巡るヒロイン達のドロドロ三角関係なんて見たくありません。

みんな幸せになれるのなら、冬夜のことが大好きな女の子みんなを、冬夜が幸せにする。でいいじゃないですか。

そういう意味では、イセスマは私にとって理想の終わり方でした。

ハーレムアニメはこう終わって欲しい、という1つの形です。

まとめ

ストーリーがサクサク進みすぎる、冒険も恋愛も全てがイージーモードすぎてつまらない。

そういう意味ではイセスマは虚無アニメなのだと思います。

けれど、ハーレムエンドにおいては、イセスマの冬夜は最高の選択をしたと思います。

ハーレムアニメが好きな人は、イセスマ、普通に楽しめるんじゃないでしょうか?

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