『劇場版 名探偵コナン 紺青の拳』のモヤモヤ感【感想 ネタバレ】

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今年のコナン映画、『紺青の拳』。

見に行って、他の人の感想ブログなどを見て、捉え方は人それぞれなんだなあと思いました。

私は今回の映画、どうしても去年の『ゼロの執行人』と比べると、ストーリーのつながりと言いますか、流れが不自然に感じられて、そこまで入り込むことができませんでした。

ただ、『ゼロの執行人』の方がいまいちだった、という人の意見もありましたし、本当に感想は人それぞれです。

今回は私が感じたことを書いていきたいと思います。

以下、当然ネタバレが含まれますので、ご了承ください。



推理、アクション、キャラクターの三大要素のバランス


今回の映画『紺青の拳』も推理、ミステリ要素よりはアクション、またキャラクター映画としての要素が強いということは他の方も書いており、その通りだと思いますし、それは今回の映画に限った話ではありません。

しかし推理要素が強いか、アクション、キャラクター要素が強いか、 ということがコナン映画の面白さを左右するわけではないと思います。

推理、アクション、キャラクターそれぞれの要素が何割だというのは、毎年毎年の映画で全然変わってきていいと思います。

推理要素がほどほどにあった方が良いのは間違いありませんが、アクション、キャラクター要素が強くても面白い映画は面白いと思います。

個人的にそれ以上に大切だと思うのは、それぞれのシーンの流れが自然で、必然性の感じられる展開だということです。

私は今回の映画、『紺青の拳』の至るところに「不自然」を感じてしまい、物語に入り込めませんでした。


園子と京極の最大の盛り上がりシーンのモヤモヤ


その最たるところが物語終盤の、今回の映画の一番の見どころと言ってもいい、京極真が園子を背負ってヘッズリと闘うシーン。

たしかに、あそこの京極はカッコよかった。キッドのトランプでやっとミサンガから解放され、もろもろの怒りから人間離れの加速した京極が、園子を守ることにその全力をそそぎ、あのヘッズリとタイマンで拳を交えるのですから。

園子が離れてしまったから事故で怪我を負わせてしまい、深く後悔した京極が、今度こそ園子と物理的に離れないをやってみせたのはすごいし、 園子は「これじゃ離れたくても離れられないわよ」と独りごちる、アクション、ラブコメ的に最高の盛り上がりを見せるところです。

から紅でいう、ラストの平次と和葉がバイク二人乗りで脱出するシーンですね。


でも京極さん、それでは園子があまりにも危険で、可哀想すぎませんか??

ヘッズリと本気で闘うシーンなのに、まず園子を背負っている時点でハンデを背負っていますし、ヘッズリが背中の園子を狙わないという前提がなければ無理なのではと思います。京極は園子を背負いながらでも、ヘッズリの攻撃が何一つ当たらないほどの身体能力を持っていそうなため、一応成り立つのでしょう。

でもやっぱり、園子は可哀想。闘っている最中はずっとジェットコースターに乗っているかのような、いや本気で悲鳴をあげていたし。そのあと真剣に泣いてましたし。そりゃ怖いよね。

京極さんは、園子を身体的な意味でも守らなきゃいけないけど、精神的な意味でも守らなきゃいけないのでは??と思うんです。

あの時だったら、周りに悪党もいなかったし、園子を安全なところに降ろして、なんならそこに縛り付けて、自分は一人でヘッズリと闘った方が園子はよっぽど安全だったと思うんです。

京極さんは、せめて怖い思いをさせてしまったことを謝るシーンがあれば良かったんですが、泣いている園子に何のフォローもありませんでしたしね。。

このシーンに象徴されるように、今回の映画では見せ場ありきの展開が目立ちます。コナン映画はツッコミ所が多いのもネタになる面白さがあるんですが、そこが物語クライマックスの、アクションとラブコメ的盛り上がりのピークだったことが、私的に残念です。

違う形で京極と園子のラブコメ的盛り上がりのピークを書いて欲しかったです。

から紅の平次と和葉は、バイク二人乗りの脱出は危険だけど、そうするしか助かる方法がないし、そんな危険なことを判断してやってみせる平次がかっこいいし、きゅんとくるんです。

でも今回は、ヘッズリというシンガポール最強空手選手が、京極と闘うことを望んで拳をふるってきているので、何も園子を巻き込むことはなかったのでは。。



『ゼロの執行人』との比較から考える冒頭シーン


ざっくりとした『ゼロの執行人』との比較になりますが、ゼロの冒頭はドローンのシーンから、サミット会場の爆発に始まり、小五郎が犯人だという証拠が揃っていき、逮捕。その後も展開としての流れはスムーズに感じられました。少し、どうして小五郎を逮捕させなければならなかったのか疑問でしたが、ラストで安室さんが「どうしても事件にしなければいけなかった」、「コナンの本気の力を借りたかった」と答えたことで納得しました。

今回の『紺青の拳』の冒頭は、見知らぬ異国の地で、見知らぬ外国の男女の会話シーンから、女性の刺されたシーン、そしてその建物の爆発から始まります。

ミステリー物の始まりとしては自然だと思いますが、その冒頭のシーンと、日本からシンガポールへやって来たコナンたちとをうまく結びつけられていないように感じました。

海外で少し前に起きた事件を、あとでシンガポールへやって来たコナンたちが推理するのは、事件に関わるという意味でも、推理材料を揃えるという意味でも難しい。

コナンたちがいる時に事件が起こった方が、それを推理する時も臨場感があるし、物語に必然性が生まれると思います。

もしも論ですが、冒頭でコナンが目覚めたらシンガポールにいたというシーンから始まり、コナンもといアーサーがいるホテルで弁護士のシェリリンが殺されたとしたら、うまく推理、アクション、キャラクターの三大要素が混ざり合って一つの流れになったのではないでしょうか?

レオンは小五郎に何のオーラを感じていませんし、そもそも誰の前であろうと事件を起こすことに躊躇うことなく、いくらでもトリックは考え付くと思います。



良い、面白いと思ったところ

・作画がめちゃめちゃ綺麗でした。シンガポールの夜景が特に。人物の作画も綺麗で丁寧でしたし、観終わったあとは実際にコナンたちとシンガポールに行ったような気分になれました。

・園子がキッドのことをベタ褒めしている隣で、京極が甲冑の剣を握りつぶしそうになるシーン

・レオンの声優さんがめちゃめちゃ自然だったところ(ゲスト声優の山崎育三郎さん)

・ナイトプールで蘭が「私たち付き合ってるんでしょ?」というセリフに対しての新一もといキッドの内心『そうなの!?』(知らないのに新一として振る舞わなければならないところ)

・蘭が実は最初から新一の正体に気付いており、色々とカマをかけていたというところ

・ED曲の「BLUE SAPPHIRE」が良曲だった

・エンドロールの 林修 林修



まとめ、次回作の期待

色々と書いてしまいましたが、映画は見て感想をああでもないこうでもないと書くまでが楽しめるところだと思いますし、来年のコナン映画も大いに期待しています。

来年は赤井さんメイン、名古屋が舞台?ということで、個人的に最高だと思ってます。

赤井さんと名古屋がどのようにコナン映画で調理されるのか?今からめちゃくちゃ楽しみです。


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